嘉瀬の奴踊り

かせのやっこおどり

石コ流れて木の葉コ沈む

古くから金木町嘉瀬に伝わる田植え踊りで、青森県無形民俗文化財に指定されています。
江戸時代、津軽藩四代藩主の信政公が金木新田開発に着手した頃、当地に派遣された藩士の中に、鳴海伝右衛門(なるみでんうえもん)という人物がいました。彼は実直な性格で開墾に全力を尽くしましたが、使役する農民たちには寛大で決して無理はさせませんでした。しかし、同僚の藩士たちは農民を酷使して開墾を急がせ、役目を終えて早々に帰っていきました。そのため、開墾に遅れた鳴海伝右衛門は上役から不興を買うことになりました。やがて金木村に藩の御蔵が出来て、年貢米を収めることになりました。その役人にかつての同僚たちもいて、農民たちに威張りちらしました。主人思いだった鳴海の下僕、徳助(とくすけ)はこの様子をみて大いに残念がりました。しかも元の同僚たちは愚直者の鳴海伝右衛門を軽蔑し、奴の徳助をもあざわらいました。徳助は恵まれない主人のため、秋の刈り入れの振舞いの席などで、自分で歌を唄って踊り、主人の不遇を慰めた踊りが「嘉瀬の奴踊り」の始まりです。歌詞の中にある「嘉瀬と金木の間の川コ、石コ流れて木の葉コ沈む」とは、誠実な者は恵まれず、軽薄な者がはびこることを暗に言ったもので、矛盾した世相を風刺したものとなっています。ちなみに「嘉瀬と金木の間の川コ」とは、小田川のことです。


所在地

五所川原市金木町嘉瀬

TEL

0173-35-2111(五所川原市教育委員会社会教育課文化係 内線2954)

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